共通テスト 倫理 2022
今回は倫理の解答解説します
第1問 源流思想

問1 様々な宗教や思想家 1.②
①ソクラテス:無知の知 問答法、産婆術(助産術)に例えられる、相手自ら知恵を生み出す
②ムハンマド:最後の預言者、神の真理の言葉を託された、
クルアーン:神がムハンマドに掲示した教えを記したもの、ムスリムの生活規範 〇
③スコラ哲学:哲学は神学の婢、哲学は神学に仕えるもの
④ブッダ:涅槃に至るために誰もが守らなければならない普遍的な規範としての八正道
問2 古代中国における礼 2.③
ア 孔子:親しい人への愛としての仁、それが外に現れた礼、道
自分勝手な感情や欲望を抑制し、自らの行為や態度を礼という規範に従わせる「克己復礼」 〇
イ 孟子:性善説、惻隠の心 仁・義・礼・智の四徳
ウ 墨子:広く平等に愛す兼愛、儒家の説く差別的な別愛を批判
問3 イスラーム ④
①イスラーム文化:ギリシア哲学の影響のもとでイスラーム哲学を展開
アラビア語翻訳、アリストテレスや新プラトン派の哲学
②イスラーム共同体(ウンマ):イスラーム法の体系に従い宗教と法律と道徳を一つとする共同体
③ジハード:異教徒との闘い
④イスラーム:ムハンマド開祖、モーセもイエスも預言者 〇
問4 人間の生き方 4.①
①アリストテレス:知性的徳と習性的徳を区別 人間は、知性的徳の一つである思慮(フローネシス)を働かせて、行為や情念に過剰や不足がある状態を避ける中庸を実践すべき 〇
②パウロ:信仰によってのみ義とされる。
信仰・希望・愛:パウロが重視、アウグスティヌスのキリスト教三元徳
ギリシア四元徳:知恵・勇気・節制・正義
③イエス:山上の垂訓、
黄金律:自分にしてもらいたいことは、あなたがたもそのように人々にせよ
④大乗仏教:慈悲を重視、六波羅蜜(忍辱・精進・知恵(般若)等))が守るべき徳目
問5 マルクス・アウレリウス(自省録) 5.①
a 心理を見ようとせず、無知による害を受けかねない
自己への欺きと無知にとどまる者こそ、害を被っているのである。
b ストア派:喜怒哀楽の情念に動かされない状態(アパティア)に徹することが賢者の理想
問6 老子、旧約聖書 6.③
①老子:作為によらず万物を生み育てる道(タオ)に従う無為自然
聖人が無為を決め込み言葉によらない教えを実行 ←互いに依存し合い相対的な関係
②老子:人々が道から外れて、文明や道徳を人為的に作ったことを批判
③旧約聖書:ユダヤ教徒キリスト教の聖典
キリスト教の側、イエスにより神と新しい契約が交わされた。新約に対して旧約 ×
④旧約聖書:ヨブが神と言い争うとした自分を反省
問7 スッタニバータ(最古の仏典経典) ブッダ 7.①
論争をやめるべき ← 論争、勝者の驕りと敗北の落胆
賞賛の獲得以外に何もならず、心の高ぶりによって害される。
問8 王陽明 伝習録 8.②
①イエス、マルコによる福音書 イエスは沈黙を続け弁明しなかった。 会話では不適当
②王陽明 心即理、致良知、知行合一
議論によって互いの主張に耳を傾け、相互の理解を補い合うこと、正しい理解へと至る。〇
③ナーガルジュナ(竜樹)、ヴァイダルヤ論 論争で解脱到達はあり得ない 会話では不適当
④ゴルギアス、議論による心理に疑いの眼差し 会話では不適当
第2問 日本の思想

問1 古代の日本人 9.④
①多神教とアニミズム。自然の事物に神々が宿る。
②自然の力:祟り神、恵みの神、祭祀を行った。
③人間の外部から付着した罪が禊によって、祓い清められる。
④神に対する純粋な心、偽りのない心、清き明き心(清明心)
神々に祈りを捧げる祭祀を妨げる行為を、罪とした。 〇
問2 憲法17条(聖徳太子) 10.⑤
ア 「倭をもって貴しとなし、」:自他の調和という日本人の伝統的精神 ×
イ 「篤く三宝を敬え、」:三宝とは仏・法・僧 〇
ウ 「ともにこれ凡夫のみ、」:誰もが欲望に捉われた存在、仏教的な人間観、和の前提 ×
問3 禅 11.①
а 明恵、華厳宗 浄土宗の法然を批判、菩提心を軽視しているとして。
b 心身のあり方重視、さとりを目指す実践の原点、ブッダ以来修行、座禅
問4 本居宣長 12.③
真心 生まれたままのありのままの心
悲しい時には泣けば良いし、嬉しい時には喜べば良い
問5 安藤昌益 13.③
農本主義:万人直耕による自然世を説き、不耕貪食による法世を批判
西川如見:ただの町人こそ楽しけれ、町人の生き方を自覚的に肯定
二宮尊徳:天道と人道を説き、報徳の実践として分度と推譲を重視
近松門在衛門:義理と人情の相克に悲しみながら生きる人間の姿を浄瑠璃に描いた
問6 日本の近代思想 14.④
ア 安部磯雄:キリスト教的な人道主義から社会主義思想を展開
→競争や階級のない平等な社会の実現
イ 北村透谷:ロマン主義、内面的な想世界、自己の内部生命の要求を実現すること
石川啄木:近代歌人、時代閉塞の現状では自然主義のニヒリズムを批判
問7 西田幾多郎 15.②
①美しい音楽に心を奪われて忘我 → 主客未分の純粋経験
②自らのあり方を反省 → 客体に対して主体を区別 ×
③親鸞:自分は煩悩を捨てきれない悪人だと自覚 → 悪人正機説
④自然法爾:阿弥陀仏の働きに身を委ねる。悟りを求めようとする自力を捨てる。
問8 理想 16.
理想:理想と現実の隔たりを浮かび上がらせ、現実を向上させる原動力となる。
↑ 理想が現実を浄化する。
第3問 西洋近代・現代思想

問1 ピコ・デラ・ミランドラ 17.③
『人間の尊厳について』:人間は動植物と異なり、自分で自分の意思を決定する自由意志を持っている。主体的に意思を決定していく。
問2 魔女狩り 18.④
ある種の思考停止に陥って、少数の人々を迫害
適当ではない × ④熱狂的に支持 ×
問3 デカルト 19.①
方法的懐疑:僅かでも疑わしいものは真ではない。
確実に真理に到達するための手段・方法としての懐疑
精神としての自己の存在 → 哲学の第一原理
「われ思う、ゆえにわれあり(コギト・エルゴ・スム)」
問4 ロック(イギリス経験論) 20.④
人間知性論:生まれたばかりの人間の心はすべて『白紙(タブラ・ラサ)』
経験を通じて得られた観念やその組み合わせによって、知識が生まれる。
①ヒューム(イギリス経験論):人生論、自我を近くの束、
諸々の観念も人間の心が慣習として作り出したものにすぎない。
②デカルト:生得観念、生まれながらにして人間に備わっている観念
③バークリー(イギリス経験論):存在するとは知覚されるということ、
心の外に物質世界があることを否定
問5 ヘーゲル、弁証法 21.②
ドイツ観念論、正(テーゼ)・反(アンチテーゼ)・合(ジンテーゼ)の三段階からなる弁証法、
精神の自己展開としての自由の実現を表現
ア〇:弁証法:精神が自由を実現する過程を貫く論理、全て存在するものはそれ自身と矛盾するものを内に含み、それとの対立を通じて高次の段階に至る。
イ×:止揚:否定と保存の意味を併せ持つ言葉、対立・矛盾する二つものの両方の内容を保存しつつ、より高次の秩序の内で総合・統一すること
問6 ヤスパース:実存主義 22.③
限界状況における有限性の自覚と実存的交わり
限界状況と向き合いつつ、真の自己を求める者同士で心を開いて語り合うのが実存的交わり
→互いの実存が明らかになる。
①× 「死、苦悩、罪責、争い」という乗り越えられない壁
②× 全ての現象を包み込む包括者・超越者という永遠の存在に眼差しを向ける。
④× 「愛しながらの戦い」を通じて理性によって自己の実在に目覚めることができる。
問7 デューイ:プラグマティズム 23.①
道具主義:知識を日常生活に役立つ道具とする。
a
知性:生活の中で直面する問題を把握し、課題の解決に向かって行動する創造的な働きがある。
想像的知性:試行錯誤の中で問題を把握し、解決する知性のあり方
b
思考の役割:自然の衝動や願望を抑えつつ、
自己を取り巻く客観的状況を観察、過去の事例を振り返る
自分がこれからなそうとする行動の当否を吟味する。
問8 24.②
a 授業の魔女狩りの話、先生や友人との対話
→ 熟慮する力が養われておらず、知識が真に自分のものとなっていない。
b 日常生活で何かが心に引っ掛かって残り続けた経験は、自分自身の考えを深めていくための出発点になる。
第4問

問1 ヨナス 25.⑤
未来倫理:現世世代は未来世代に対して責任がある。
自然を危機的にまで傷つけ人類を滅ぼすことができる科学技術を手にしている。
a ラッセル・アインシュタイン宣言:科学者の社会的責任、核兵器廃絶
国連環境開発会議(地球サミット):持続可能な開発
ボールディング:地球を宇宙船という閉ざされた環境に喩えた。
b 遠い将来の人であっても、私たちの行為で被害を受けることがある。
問2 デジタル・デバイド 26.②
現代社会における情報能力格差
問3 27.①
②レビン:マージナル・マン(境界人・周辺人)
大人の集団にも子供の集団にも属さない不安定な状態
ピアジェ:脱中心化、子供が自分の観点からではなくて他人の観点から物事を見るようになる。
③第一反抗期:3~4歳頃
第二反抗期:12~13歳頃、自我の目覚め、自己主張の表れ
④エリクソン:青年期:自我同一性、達成すべき発達課題
乳児期:基本的信頼の獲得
問4 環境、世界と人間との関係 28.
ア メルロ=ポンティ:人間は身体を通じて世界を知覚し行動、
身体によって世界に織り込まれている。
イ レオポルド:土地倫理、人間を生態系の構成員
人間、生態系の征服者ではなく一構成員、生態系という共同体を尊重、他の構成員に配慮
バース:プラグマティズムの創始者、プラグマティズムの格率
問5 ガンディー 29.①
非暴力主義、
アヒンサー(不殺生)を根本原理、全ての生き物を同胞とみなす、肉食の禁止、戦争の放棄
サティヤーグラハ(真理の保持)、全ての生命を尊重し平和を愛し、暴力に依らずに抵抗すべき
ブラフマチャリヤー(自己浄化):感覚を統制し、真理を探究する実践
問6 気候変動 30.④
ア〇 化石燃料で動く交通・輸送手段の使用を控える
イ〇 肉・乳や毛・革の過剰な売買と利用をやめる
ウ 資金を拠出 → 補償
問7 将来や社会への意識調査 31.②
a 日本は、他国に比べ悲観的回答や否定的回答の割合が多い。
b 韓国は、自国の将来が明るいと思う人が少数派という点は日本と似ているが、
社会を良くするために自分が問題を解決しようと思う肯定的な回答が日本と違い多数派
問8 コールバーグ:道徳的判断 32.④
盗みをする → 所有者を人として尊重していない、自らの内面的正義の基準に反する
幸福増進や個人の尊重、
皆に受け入れ可能で自らの良心にかなう原理
問9 未来世代 33.③
a
k:有限の人性を生きることの意味や幸福、誰かが私たちの遺産を引き継いで幸せに生きていってくれるという期待にかかっている。
未来世代の人の利害は現代世代の人の利害より重要
b.
j:未来世代の人か何も返してもらえない。
一方的な自己犠牲をしなければいけない。
k:道徳的に考えると、遠い未来に生まれる人たちの利害も私たちと同様重要
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